このページでは「パチンコやパチスロをなぜ取り締まらないのか」について解説しています。
また、パチンコの違法性について日本政府や警察庁などの見解もご紹介しています。
かじのん
キノじい
ページの目次
1. ギャンブルに関する法律
まずはじめに日本のギャンブルに関する法律を解説します。
賭博罪
日本では賭博罪によってギャンブルが規制されています。
賭博罪はつぎのように3種類あります。
法律 | 対象 |
---|---|
単純賭博罪 (刑法第185条) |
賭博をおこなったもの |
常習賭博罪 (刑法第186条1項) |
常習的に賭博をおこなったもの |
賭博開帳図利罪 (刑法第186条2項) |
賭博を開催したもの |
※出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)
ここでいう賭博とは、2人以上のものが金品を賭けて勝負し、勝敗によって金品の得失を争う遊びのことを指します。
つまり、たとえ遊びであっても金銭や品物を賭けた時点で賭博になります。
たとえば野球は合法的なスポーツですよね?しかし勝敗について賭けると、賭博になり賭博罪の容疑で逮捕されてしまいます。
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合法なギャンブル
日本で国から認められているギャンブルは、次のように6種類あります。
合法なギャンブル | 管轄 | 法律 |
---|---|---|
宝くじ | 総務省 | 当せん金付証票法 |
スポーツくじ | 文部科学省 | サッカーくじ法 |
競馬 | 農林水産省 | 競馬法 |
競輪 | 経済産業省 | 自転車競技法 |
競艇 (ボートレース) |
国土交通省 | モーターボート競走法 |
オートレース | 経済産業省 | 小型自動車競走法 |
※出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)
上記のギャンブルは政府の各機関から、合法的に運営が認められています。
これらのギャンブル以外は、国から認められていない非合法なギャンブルになります。
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2. パチンコなぜ取り締まらない?
日本人の大多数が、パチンコは違法なギャンブルであるという認識だと思います。
それなのに「なぜパチンコを取り締まらないのか」という疑問を持つ方が多いのではないでしょうか?
結論から言うと、パチンコは違法ではないので取り締まれないというのが現状です。
一体どういうことなのか、ひとつずつ説明していきますね。
パチンコはギャンブルではない
実はパチンコはギャンブルではありません。
パチンコは出玉(メダル)を景品に交換しているだけで、直接換金はしていないのでギャンブルに分類されません。
法律的には遊技という位置づけになっています。(遊技とは娯楽としての遊びのことを言います)
そんな馬鹿なと思う方がいると思いますが、風営法の第2条においてパチンコは遊技だときちんと記されています。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条(第一項第四号)
まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業参照元:e-Govポータル
かじのん
たとえばゲームセンターは景品を出していますがギャンブルではありませんよね?
キノじい
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景品を出すことはOK?
第十九条 第二条第一項第四号の営業を営む風俗営業者は、国家公安委員会規則で定める遊技料金、賞品の提供方法及び賞品の価格の最高限度(まあじやん屋を営む風俗営業者にあつては、遊技料金)に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。
参照元:e-Govポータル
パチンコホールで景品を出すことは、風営法の第2条第19条によって認められています。
ただし景品の最高限度額が公安委員会によって決められており、それ以上出した場合は摘発されてしまいます。
現在パチンコホールで出せる景品の限度額は、1万368円までとされています。
パチンコホールで提供される賞品の最高限度額の基準は、これまで「1万円を超えないこととする」と定められていたが、前出のように9600円に消費税額を加えた金額を上限金額に設定。消費税率8%の場合、最高限度額は1万368円になる。
参照元:産経新聞(SankeiBiz)
景品換金に違法性はないの?
さてここで一番の問題となっている、景品交換所の存在です。
大半のパチンコユーザーは、パチンコ店で受け取った※特殊景品を、景品交換所で現金化しています。
パチンコでもらえる景品は、次のように2種類あります。
通常景品 | 日用品、お菓子、家電など |
---|---|
特殊景品 | 金(金地金)。景品交換所で現金と交換できる |
換金できるのなら、実質ギャンブルと変わらないですよね?
そこで生み出されたのが、下記のような三店方式です。
パチンコ店 | パチンコをするお店。出玉(メダル)を普通景品や特殊景品に交換できる |
---|---|
景品交換所 | 特殊景品を現金に交換してくれるお店 |
景品問屋 | 景品交換所から特殊景品を買い取り、パチンコ店に卸す業者 |
「パチンコ店・景品交換所・景品問屋」と3つの店に分かれているのがポイントです。
これらの店はそれぞれ独立して営業しており、パチンコ店とは無関係だという形態をとっています。
つまり、パチンコ店は風営法に則って景品を提供しているだけで、換金には一切関わっていないというスタンスです。
実際にパチンコのホールスタッフに「どこで換金すればいいのですか?」と質問すると教えてくれません。
換金場所を教えてしまうと三店方式が成立しなくなり、風営法第2条第23条の「客に提供した賞品を買い取ること」に違反してしまう可能性があるからです。
第二十三条 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
参照元:e-Govポータル
3. 各界の見解
ここからはパチンコの違法性に対する、各界の見解をご紹介していきます。
警視庁
結論から言うと、警察はパチンコを取り締まる気はありません。
その理由についてソースを交えて解説していきます。
警視庁担当者の見解
2014年7月24日に風営法議連と、警察庁の担当者のパチンコに関する会合が開かれました。
その中で、パチンコで実質的に換金が行われていることについて、警察庁の担当者が次のように返答しています。
「パチンコで換金が行われているなど、まったく存じあげないことでございまして…」
参照元:JCASTニュース(2014年08月27日)
https://www.j-cast.com/2014/08/27214228.html?p=all
警察の担当者は、パチンコで実質的に換金が行われていることを、把握していないと言っています。
この発言から、警察はパチンコを取り締まる気がまったくないという事がうかがえます。
かじのん
キノじい
パチンコ関連団体に天下り
なんと警察OBのあっせん先には「パチンコ・ギャンブル関連業」も多く含まれるというのだ。
参照元:エキサイトニュース【文科省より許せない警察の天下り】
https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201702_post_12166/
警察がパチンコを取り締まらない理由のひとつが、警察OBがパチンコ関連団体に天下りしているからだと言われています。
警察がパチンコ台などチェックする機関である保通協に天下りしている、という噂を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
実際にパチンコ問題に詳しいジャーナリストの若宮氏が、警視庁の警視総監が保通協のトップに天下りしていると指摘しています。
若宮:保通協っていうのがありましてね。パチスロ、パチンコ機能、検定をするわけですよ。
ひろゆき:パチンコ屋さんに卸しても良いかどうかの台のチェックをする協会? 財団法人保安電子通信協会ですね?
若宮:そうです。正式にはそういう名前です。そこのトップに警視庁の警視総監が天下りしてますよ。
参照元:ログミーBiz
日本政府
実はすでに日本政府は「パチンコは違法ではない」との公式見解を出しています。
2016年11月に、緒方林太郎議員がパチンコに関する質問主意書を提出しました。その中で次のような事が書かれていました。
- パチンコ屋が景品を換金している事を政府は把握しているのか
- パチンコは賭博罪に該当しないか
六 ぱちんこ屋で景品を得た後、その景品を金銭に交換している現実を政府として把握しているか。
七 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定されるぱちんこ屋は、刑法第二編第二十三章における罪の違法性を阻却する必要はないのか。
参照元:衆議院ホームページ
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a192123.htm
この質問に対して、政府は次のように答えています。
- パチンコ店以外の第三者が景品を交換していることは把握している
- パチンコは賭博罪には該当しない
六について
客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。
七について
ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。
参照元:衆議院ホームページ
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a192123.htm
このようにパチンコは、賭博罪に該当しないとはっきり明言しています。
風営法に基づいて運営されている限り、パチンコは違法ではないというのが国の見解です。
海外運営のオンラインカジノと同じですね。
キノじい
オンラインカジノの違法性についてはこちらで詳しく解説しています。
【必見】オンラインカジノは違法?合法?警察や弁護士の見解は?
弁護士
賭博罪に詳しい弁護士の津田岳宏先生は、パチンコは違法ではないとの見解です。
上記の動画では、2ちゃんねる創設者であるひろゆき氏が「三店方式は違法」だと言ったことに対して、津田先生は次のように反論しています。
- パチンコで景品を出すことは風営法によって認められている
- 第三者(景品交換所)が景品を買い取ることは認められている
- 法的には合法。裁判でも100%合法になる
まず、パチンコは『風俗営業法』という法律で景品を提供することが認められている」と説明。その上で「パチンコの景品を買い取る、これも第三者である小物商が買い取ることも認められている。ということは、やっぱりそこを違法だとするのは難しく、法律的には“合法”となる。裁判でも“100%合法”が結論だ
参照元:ABEMAニュース
https://times.abema.tv/articles/-/10010050
4. よくある質問
パチンコを利用すると逮捕される?
パチンコは違法ではないので、逮捕されることはありません。
ただし違法行為をすれば逮捕されますので気をつけましょう。
佐賀市内のパチンコ店で糸付きのパチンコ玉を使い、不正に出玉を盗もうとしたとして、窃盗未遂などの疑いで7月31日、34歳の男が逮捕されました。
参照元:佐賀ニュース(2020/08/01)https://www.sagatv.co.jp/news/archives/2020080103311
三店方式が違法だという判例はある?
ありません。
ただし、実質的に換金しているも同然なので、三店方式は違法だと主張する弁護士の方もいます。
パチンコは無くすべきですか?
かつてはパチンコの利用者は3,000万人以上いると言われていましたが、年々利用者が激減しています。
毎年100万人以上の利用者が離れていっているので、将来的になくなるかもしれません。
パチンコ・パチスロの遊技参加人口は、1980年から1995年までは2,800万人から2,900万人の間で推移していたようですが、2009年には1,720万人、2013年には970万人と減少します。こののち、多少上下しながら、2021年の時点では813万人となりました。2020年の調査から約2割減少しています。
参照元:dmenuニュース(NTT DOCOMO)
パチンコ協会に国会議員がいるの?
事実です。
パチンコチェーンストア協会に、政治分野アドバイザーとして国会議員の名前が載っています。
こちらのサイトで会員リストが確認できます。
参考
理事・会員リスト「パチンコ・チェーンストア協会」(PCSA)
パチンコは違法だと訴えるとどうなる?
パチンコ店は風営法に則って営業していますので、訴えてもほぼ勝てないでしょう。
ただしパチンコ店が景品の換金に関わっている証拠があれば、有罪にできる可能性はあります。
5. まとめ
以上がパチンコを取り締まらない理由になります。
簡単にまとめるとパチンコは風営法によって営業が認められており、違法ではないから取り締まれないということです。
日本政府もパチンコは違法ではないという見解なので、この先パチンコが違法になる可能性は低いでしょう。
ただ、違法ではありませんが、合法でもないのでグレーなものだと認識しておきましょう。